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はんこう
反抗
豊島 与志雄
「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页
いろんな用があるのに、横田があの通り懶惰だから、私一人で困ってるのよ。」
「ええ、何でもします。」と彼は答えた。
「そう無雑作に受合って大丈夫ですか。また急な仕事が出来たなんかって……。」
「いえ、大丈夫です。いつです、どんな用事でも、私で間に合うことなら飛んで来ます。」
「屹度でしょうね?」
と念を押して、彼女は一寸眼を空間に定めて考え込んだが、それから、また静かな顔付で彼の方を見やった。彼は妙に不安になった。彼女が意識して避けてる事柄がその底にあるのを、彼は漠然と感じた。いつまでも黙って向い合ってるのが苦しかった。
そしては、隆吉を探しに立っていった。
周平がやってゆくと、隆吉は左の頬に転い笑靨を寄せながら、目玉をぐるりと動かして、彼の姿を見上げた。周平は黙って其処に坐りかけたが、外光を遮られた狭い室で、つまらない時間を過すよりも、自由に外を歩きたくなった、――いつのまにか彼は、隆吉を外に引張り出す癖がついていた。
「外へ行かない?」
「うん、行こう。」
周平が半ば下しかけた腰を浮かせてるまに、隆吉はぴょんとはね起きて、すぐに黒い毛糸の帽子を取ってきた。