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はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

お清は二人の下駄を、奥に通じてるらしい障子のわきの板の間に置き、開扉の締りをして、それから二階へ上っていった。周平もぎしぎし軋る梯子段を後に続いた。

梯子段を上りきって、其処の骨太な障子を開くと、粗末な六疊の室に出た。

「おお寒。……一寸待っていらっしゃい。今火燵をいれてあげるから。」

お清は室の隅に肩掛とコートとを脱ぎ捨てた。周平はぼんやり腰を下した。

四十一

それは、妙な感じがする室だった。黝ずんだ天井、薄汚れのした黄色っぽい壁、汚点のある肯い窓の障子、それと対照して、新らしく張り換えたらしい真白な縁側の障子、浅い床の間の横の一枚の襖と反対の側の二枚の襖とは、処々に切り張りがしてあった。室の中の有様もまた、周平の眼には物珍らしかった。安価な青い瀬戸の円火鉢には、錻力の大きな薬鑵が疊の上にじかに置いてあった。その横の火燵には、派手な銘仙の布団がふわりとかかっていた。大きなメリンスの座布団が、ぱっとした華かな色を浮出していて、その前の床の間に、ごたごた化粧瓶の並んでる、大きな贅沢な鏡台が据えられていた。がその横には、壊れかけた古机が一つ、埃のたまっていそうな古雑誌を四五冊乗せていた。