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はんこう
反抗
豊島 与志雄
「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页
と村田が尋ねてきた。
「ああ、昨日一寸。」
村田は変な瞬きをした。周平にはそれが一寸痛快な気がした。心が落付いてきた。
「これだけの人数で十分よ。……井上さん、いらっしゃい。」
周平は振り向いた。卓子の向うの端からお清の顔が覗き出していた。
「私も忘年会の仲間に入れて貰うのよ。いいでしょう。」
眼付に一寸険を帯びて、口元に軽い微笑を浮べていた。それを周平は正面にじっと見返した。
「君の承認を得なけりゃ気が済まないんだそうだ。」と竹内が云った。
冗談の調子ではあったが、それがぐっと周平の胸にきた。彼は唇を震わしながら咄嗟に言葉が出なかった。
「はいりたい者は皆入れるさ。」と村田が引取った。「兎に角、忘年会の名に恥じないように、一年中のことを忘れちまうまで飲めばいいんだ。」
「僕は一年中のことを生かしきるまで飲みたいね。忘れるより生かす方が……。」
「分ったよ。」と村田はそれを遮った。「もう沢山だ、君の理屈は。」
先刻からの話の続きらしかった。然し周平は黙ってることが出来なかった。突然云ってのけた。
「おい竹内、下らない噂を立てるのは止すがいい。卑劣じゃないか。」
云ってしまってから周平は、竹内を見つめてる自分の眼付が熱してるのを感じた。