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きょうふのきせつ

叢書名著の復興1 恐怖の季節

三好 十郎

三好十郎『叢書名著の復興1 恐怖の季節』。同一底本的分册已合并为一书。收入:恐怖の季節、斬られの仙太。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 页

青空文庫

男二 あの、それでは※(疑問符感嘆符、1-8-77) ど、どうも、ありがとうござ……(とペコペコしながら二人は花道の方へ行きかける)

隊二 馬鹿っ! 違うわ、そっちへ誰が行けといった! 山上へ行けというのだ。(男二人のそっ首を掴んで引戻し、門の方へ突きやる。歩哨に)早く! (歩哨心得て、二人を引立てて門をくぐり、こづき廻しながら山上への路へ消える)

隊一 元々あれは、田丸先生の内命を受けて使いに出た者ではないのかなあ? それが吉村や薩賊と往来するなどとは怪しからん。全体田丸先生などいまでも甚伍左を信頼していられるのか?

隊二 さあ、俺はよく知らぬ。……一寸待て。(と右手屯所の方へ去る)

(遠くで微かに銃声。揚幕の方より仙太郎小走りに出る。身なりは前といくらも変っていないが、素袷すそ取りの胸に黒漆の胴をつけ、草鞋ばきの素足に一個所繃帯し、他にも一二ヵ所血のにじんでいる薄手を負うている。すでに所々に転戦して生き延びて来た男の面魂である。明るいノンキな表情をしている。分捕ってでもきたらしい五六本の大刀――中の二三本は鞘がなくて抜身のまま――を無造作に荒縄で束にくくった奴を肩にかつぎ、自分の刀は腰に閂に差し、それだけはよいが、どういうものか木綿のしごきで真中をキュッとしばった砥石を、肩から背中の方へ下げている)