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きょうふのきせつ

叢書名著の復興1 恐怖の季節

三好 十郎

三好十郎『叢書名著の復興1 恐怖の季節』。同一底本的分册已合并为一书。收入:恐怖の季節、斬られの仙太。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 页

青空文庫

ただ、そのような弱く浅くモロく淡い見本を、ホントウから言えばそのようではあり得ない条件と前提を背負って出発した筈の戦後派作家たちに認めなければならなくなって来つつあるのは、意外で心外だ。

われわれは、一日一刻も早く世界的場に出抜けなければならぬし、出抜け得ると思う。それに必要なことは、カントのようにマルクスのようにデューイのように考えることでは無い。そんな事は大した事では無い。彼等が持っている――そして昔の日本人も持っていた――今でも少数の日本人が持っている――思想と行動の一貫性、初一念への執念深さ、自分が自分に背負わした荷物への保持力、なかなか食いつきはしないが一度こうと思って食いついたら最後首が飛んでも離さない歯の力――一言にして言うならば、自分のイノチの処理のしかたのシブトサを見につけることである。

それを戦後派作家たちが、多少はやってくれようかと期待していた。期待は大き過ぎたかも知れぬ。いずれにせよ、期待はほとんど完全に近く裏切られかけているらしく見える。とにかく、ニヒリスティックな小説を五つ六つ書いた末に不意に「進歩的」になっちゃって共産党に入党した作家や、又はその逆に入党して半年もたったら忽ちその共産党にも疑いを持ち、持ったトタンに党をやめたりサボったりする作家や、あれこれの美学や科学や芸能