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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

在线阅读柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 页

青空文庫

この場合衣を裁つ者は当然女であろうから、作者はその外に求めなければならぬのである。

冬籠る一間は広きを要せず、狭くとも暖きを条件とする。居間の狭くなることを喞ったようなこの句も、その条件には外れていない。しずかにこの句を誦すると、裁たれる布の華かな色は勿論、座辺の火鉢に火のかんかんおこっている様まで、連想として浮んで来る。

湯のぬるき居風呂釜を脚婆かな    還珠

この句は冬の季にはなっているが、何の季題に分類すべきかということになると、ちょっと判断に苦しまざるを得ぬ。第一下五字はどう読んだらいいのか、よくわからない。俳句の振仮名はこういう場合に最も必要なのだけれども、かえってそれがついていないのである。

そういう問題はしばらく措いて、この句の意味はどうかといえば、格別面倒なこともない。居風呂に入ったところが、いささか湯がぬるいので、脚を直接風呂釜に当てて見た、という意味らしく見える。五右衛門風呂の中に浮いている板の用途がわからないで、蓋の類と心得て取ってしまったため、直接釜に触れる足の熱さに堪えず、下駄穿のまま風呂に入って、遂に釜を踏み破る話が『膝栗毛』