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あいえんきえん

合縁奇縁

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页

青空文庫

一枚宛だよ、女給は二人だったから」

「ケチだね」

「いや、引続いて十分毎に一枚宛寄進についた。しかし、これが拙かったらしい」

「チップは後からやるものだろう」

「それだからさ。此奴等雛っ子だと見られてしまった。

『ちょっと、あなた方は中学校か商業の生徒さんじゃない?』と訊くんだ。僕達はギョッとして、顔を見合せたよ。知れゝば退学ものだからね」

「何と答えた?」

「馬鹿あ言えと威張って、又五十銭やった。『ちょっと、あなた方はお葬式の帰りじゃない? お線香の香が沁みているようよ』と又一人の女給が言うんだ。僕達は又顔を見合せて、又五十銭やった」

「ハッハヽヽ」

「するともう一人が『ちょっと、あなた』と言って、僕の手を握った。綺麗な方の奴さ」

「涎が流れるぞ。ダラシがない」

「『ちょっと、あなた、あなた方はお寺さんじゃない?』と来た。『馬鹿を言え』『でも、戴く五十銭銀貨には皆御飯粒の固りがついているわ。お布施をちょろまかして剥がして来たんでしょう?』と図星を指しやがった」

「ハッハヽヽ」

「こゝは不浄人種の来るところで、坊さんや学生さんの足を踏ん込むところじゃないからお帰りなさいと言ったけれど、チップは一向返してくれない」