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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
を主張し、臂を攘げて横議し、目前の大害を引出し候」と※撃したるを見れば、以てその如何に大なる感化を当時に与えたるかを知るに足らん。もしそれこの書が復古的革命の気運を鼓舞したるのみならず、復古的革命家自身に向って刺激を与えたるに到りては、殆んど仏国革命のルーソーが『民約論』におけるが如きものあらん。乃ち今日において彼の西野文太郎を出し、来島恒喜を出したるものまた焉んぞ彼が熱血の余瀝ならざるを知らんや。
尊王の哲理は既に「辱なさに涙こぼるる」宗教心と一致せり。而して宗教心は人間最大の運動力たる利益心と伴随し来る。革命の精神は、さらに万斛の油を注がれたり。
如何なる場合にても「自己」は、人類運動力の中心点たり。ある者は最初に「自己」を以て運動の発足点となし、ある者は最後に「自己」を以て到着点となす。それ封建世襲の社会において、いわゆる天民の秀傑なる智勇弁力あるもの、何の地に向ってその驥足を伸べんとする。「株」を買わんか、養子に行かんか、賄賂によりて身を立てんか。これもまた限りあり。限りあるの地に向って限りなきの欲望を充たさんと欲す、そもそもまた難からずや。