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よしだしょういん

吉田松陰

徳富 蘇峰

「国民之友」1892(明治25)年5月~9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页

青空文庫

一はその倹約政策消極的にして、着実謹厳に天下の人心を服せんと欲し、他は動もすれば積極的に進み、放胆鋭利、むしろ人心を聳動せしめざらんことをこれ恐るるものの如く、即ち一は村落に貯蓄金を設け、市町に町会所を建て、積金をなさしめ、小民を安堵せしむるが如き、漸進の保険策を採り、他は菱樽十担問屋の専売権を剥ぎ、富豪の驩心を損ずるを顧みず、極めて急進突飛の手腕を揮い、一は常識円満、群小を包容する韓魏公に類し、他は理のある所、勢を顧りみず、勢の存する所、情を顧りみざる王安石に近し。

もしそれ寛政の弊風、天保に及んでいよいよ増長し、而してこの増長したる弊風をば根本より咄嗟の間に抜き去らんとしたるは、自から力を量らざるとはいえ、むしろ水野において多しとするに足るものなくんばあらず。いわんや天保の改革は、寛政の改革を再演したるに過ぎざるも、その大本において、大いに同じからざるものあるをや。寛政の改革は、内弊に余儀なくせられて出で来れり。天保の改革は、外患を予測して出で来れり。近きものは人みなこれを知る、遠きものは人みなこれを知らず。既然は衆みなこれを察す、未来は衆みなこれを察せず。