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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
象山また善視し、常に励まして曰く、「士は過なきを貴しとせず、過を改むるを貴しと為す。善く過を改むるは固より貴しと為すも、善く過を償うを尤も貴しと為す。国家多事の際、能く為し難きの事を為し、能く立て難きの功を立つるは、過を償うの大なるものなり」と。象山に購艦の説あるに及んで、余、意に期すらく、官にあるいはこの挙あらば、自ら請うて役に従い、万国の形勢情実を察観せん、また過を償い恩に報ずるの一端なりと。而して象山の説遂に行なわれず。九月十八日、江戸を去り、西のかた長崎に至りしも、事意の如くなるを得ず。十二月の季に及び、復た江戸に帰る。明年、夷舶の下田に在るや、余、藩の人渋木生と窃かに夷船を駕して海外に航せんことを謀り、事覚われて捕えらる。初め渋木生、役して江邸に在り、余の西遊に必らず故あらんと意い、脱走して邸を出で余を蹤わんと欲す。余の江戸に帰るに及んで、来りて余の寓居に投ず。生人となり孱々たる小丈夫のみ。然れどもその眼彩爛々として不屈の色あり。余、固よりこれを異とし、悉く志す所を以てこれに告ぐ。生大いに喜び、これより事を謀るや、勇鋭力前、率ね常に予を起す。