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どうほう
同胞
豊島 与志雄
「中央公論」1924(大正13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页
そして君のお母さんは小野田という家に嫁入ったから、君は小野田と云うんだけれど、本当のお父さんは僕と同じお父さんで、川村というんだよ。だから……。」
「あ、その川村さんですか。」
突然大人の調子でそう云われたので、恒夫は喫驚して、茫然と相手の顔を眺めた。
「外を歩きながら話しましょう。」
それは全く落付払った大人の調子だった。恒夫は急に気が挫けて、首を垂れながら、茂夫の後に従って学校の門を出た。茂夫は一言も口を利かず、振返って見もせず、何かをじっと考え込んだ様子で、自家とは反対の方へ、音羽の通りを江戸川の方へ歩いていった。
茂夫が別に驚いた様子も見せず、また喜ばしい様子も見せないで、思慮深そうに落付いてるのが、恒夫には不思議に思われた。そして、どうしたんだろう……と考えてるうちに、ふっと物悲しい気持に閉されて、涙ぐんでしまった。兄にでも縋りつくような気で尋ねかけた。
「君は前から知ってたの。」
「え。」と茂夫は答えてから十歩ばかりした。「そしてあなたはいつ知ったんです。」
「十日ばかり前、お父さんの法事の時、お祖母さんから初めて聞いたんだよ。それまで僕はちっとも知らなかった。