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どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

池にはもう鯉が出てると見えて、麩や煎餅を投げてやってる娘達もあった。

「僕はね、」と恒夫は云った、「何処かに自分の兄弟がいるような気が、いつもしてたんだよ。何処か僕の知らない処に、兄や姉や弟や妹がいて、それにひょっくりめぐり会う、そんなことをよく夢にみたり考えたりしたよ。するとやはりそうだったんだ。君にめぐり会ったんだ。ひょっとすると、僕達の兄や姉や妹なんかが、何処かにいるかも知れない。君にはそんな気はしないの。」

「だって、お父さんは若いうちに死んだんだろう。」

「でもね、お父さんは方々へ転地に行ったり、いろんなことをしたんだよ。そして、僕は小説で読んだんだが、肺病になると性慾が強くなるんだって……。」

云いかけて恒夫は突然顔を赤らめた。それから眼をくるくるさして口早に云い出した。

「だから、まだ方々に子供があるかも知れないよ。僕達二人きりじゃ余り少いや。それをみんな探し出して名乗り合ったら、面白いだろうね。」

「だって、一人でそんなに沢山子供を拵えられやしないよ。」

「拵えられるとも。男は一人で充分なんだよ。動物なんかみんなそうだろう。そして方々に子供を生みっ放すんだよ。