轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めいしょうまんげつ
名娼満月
夢野 久作
「富士」1936(昭和11)年4月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,840 字 · 37 页
それは要らざる斟酌。楼主の心入れは重々忝ないが、さればというてこのまま手を引いてしもうてはこっちの心が一つも届かぬ。商売は商売。人情は人情じゃ。皿茶碗の疵物ならば、疵のわかり次第棄てても仕舞おうが、生きた人間の病気は、そのようなものと同列には考えられぬ。袖振り合うも他生の縁とやら。それほどの病気ならばこちらへ引取って介抱しとうなるのが人情。まさかに満月の身体を無代価で引取る訳には行くまいと仰言る、退引きならぬお話。こちらもその御執心と御道理に負けまして、満月をお渡し申上げたような次第で御座りまする。……が……。
……さて満月さんをお引取りになりましてからの大尽さまのお心づくしというものは、それはそれは心にも言葉にも悉くされる事では御座いませなんだ。京大阪の良いお医者というお医者を尋ね求め、また別に人をお遣わしなされて日本中にありとあらゆる癆のお薬をお求めになりました。そのほか大法、秘法の数々、加持、祈祷のあらん限り、手をつくし品を換えての御介抱で御座いましたが、定まる生命というものは致し方のないもので、去年の夏もようように過ぎて秋風の立ちまする頃、果敢なくも二十一歳を一期としてこの世の光りを見納めました。