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『ゆいけんニュース』

『唯研ニュース』

戸坂 潤

「唯研ニュース」1933(昭和8)年11月20日号~1938(昭和13)年2月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,567 字 · 35 页

青空文庫

――だからこの際、唯研が研究会と機関誌とに於て、文芸の基礎的理論を専門的に試みることは、可なり当を得た事ではないだろうか。文芸学の樹立を唯研に提案する所以である。

文芸学が今日如何に不可欠な科学であるかは、ここに説明するまでもあるまい。世間では文芸学のハッキリしたものを用意されていないから、文芸評論其他に於て、思わぬ誤謬に引っかかったり、積極的な仕事が出来なかったりするのである。――幸にして唯研は相当多数の文芸学者、芸術学者、文芸評論家、及び作家を会員として持っている。今文芸学樹立のために動員すべき専門の会員を挙げて見ると、江口渙、森山啓、窪川鶴次郎、中野重治、新島繁、甘粕石介、高沖陽造、本間唯一、伊豆公夫、徳永泰を始めとして、決して人数と力量に不足はないと思う。日本の文化水準に照してそう云っていいと思う。だから必要なのは単に『文芸学』というテーマが現下の唯研にとってウッてつけの課題だということを、お互にハッキリ自覚して之を認定することだ。各個銘々のやり方でもいいから、早速研究会や機関誌誌上で、この課題の線にそうて活動を集中して行けばよい。とに角立派なやり甲斐のある仕事だと思う。