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『ゆいけんニュース』

『唯研ニュース』

戸坂 潤

「唯研ニュース」1933(昭和8)年11月20日号~1938(昭和13)年2月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,567 字 · 35 页

青空文庫

中野重治氏が繰返し読んで人物の様子を彷彿させていたという文章を見て、流石は専門家だけあるなと感心した位だ。

芝居の咄しに、原作を持ち出すのはいいことか悪いことか知らないが、併し上演されたのを見て、よくこれだけに纒まった脚色が出来たものだと、之又感心したものである。抑揚のない作品だったと思われるものに、劇らしい緊張と山とが見出されたのは、やや意外でさえあった。之ならもっと早く見て来るのだったと思った。尤も幕切れの一種のハッピーエンドは見ていてどうも解決とは感じられなかったが。

方言が相当板についた(と思われる)点、勘次とおつうと爺とのトリオの優秀な点、云われている通りだ。おかみさんの東京下町人らしい不自然さ、父と娘との鍬打つ手つきの反力学性、幕合の比例を失して長すぎることなど、すでに指摘されていたと思う。小旦那がやや水中の油に似た感じも、或いはすでに注意している批評家はあろうと思う。

割合貧弱な舞台装置で、貴族やブルジョアの豪奢な生活をリヤライズすることはむつかしい。特に外国ものの場合そうだ、そういう条件に注目して見ると、この劇などは大変得が行っているのである。