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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
「改造」1929(昭和4)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页
現在同志と思っている者も宛にはならぬというような感情も湧いて、互に相手を疑うような気持にもなった。中にも、小平太は少なからぬ衝撃を受けた。
「そうだ、同志も宛にはならぬ。だが、俺はどうだ、俺は宛になるか」
そう思った時、彼はぎょっとして思わず身を竦めた。彼といえども、最初連盟に加わった時から、一死はもとより覚悟していた。仇家に討入る以上、たといその場で討死しないまでも、公儀の大法に触れて、頭領始め一同の死は免れぬということも知らないではなかった。が、一方ではまた、仇討は仇討だ、君父の仇を討ったものが、たとい公儀の大法に背けばとて、やみやみ刑死に処せられるはずはない。お上でも忠孝の士を殺したら御政道は立つまいというような考えが、心の底にあって、それが存外深く根を張っていたらしい。
「だが、相手には何しろ上杉家という後楯がある」と、小平太は今さらのように考えずにはいられなかった。「その上杉家はまた紀州家を仲にして将軍家とも御縁つづきになっているのだ。去年三月の片手落ちなお裁きから見ても、また今度の大学様の手重い御処分から見ても、吉良家に乱入したものをそのまま助けておかれるはずはない。