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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

「改造」1929(昭和4)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页

青空文庫

と、勘平は問わず語りに話した。(ついでながら、勘平のこの書状は、江戸における赤穂浪士の動静を知る貴重な材料として、今に伝わっている)「だが、戻路にはちょっとよそへ廻るつもりだから、少し晩くなるがいいか」

「ああ、ゆっくり行っておいで」

勘平はそのまま出て行った。が、それと入れ違いに、前に出た安兵衛が戻ってきて、

「小平太どの、ひとつ平間村まで御足労を願いたい」と言いだした。

聞けば、この宿が当夜の集合所の一つになっている。それについては、昨夜の相談では、当夜の諸道具はめいめいの宿へ持ちこむことになっていたが、やはり一部分はここへ集めておいた方がよかろうということに模様が変ったので、御足労だが、これからすぐに取りに行ってきてもらいたい。もっとも、大石殿の若党室井左六が仲間どもを連れて先へ行っているから、それらのものに持たせて、貴公はただ宰領してきてもらえばいいというのだ。小平太は領承してすぐに立ち上った。

平間村までは往復八里の道である。目黒から間道を脱けて行ったが、それでも帰路は夜に入った。小平太は亥の刻前にようよう戻ってきて、自分で指図をして、それぞれ片づけるものは片づけさせてしまった。