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こくじはんのゆくえ

国事犯の行方

国枝 史郎

―破獄の志士赤井景韶―

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,341 字 · 13 页

青空文庫

井上啓二郎方を訪れたのが、人を訪ねた最初であって、其処で衣裳と旅費とを貰い、神田鍛冶町の今金で鱈腹軍鶏を食ったのが脱獄後最初の馳走であった。今金の門で二人は別れ、松田は本郷から俥に乗り浦和の知人を訪ねようとした処、この車夫たるや余人に非ず敏腕石田刑事だったので、板橋の先の志村の旅舎で騙られて他愛無く捕らわれた。

残る赤井の行動に就ては、既に筆者の記した所である。

明治十八年七月二十七日、破獄謀殺二重の罪に依って、市ヶ谷監獄の絞首台で二人乍ら死刑に処せられたが、流石に名を惜む壮士だけあって、その最後振の立派さは立会の人達を驚かせたそうである。