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こくみんきょういくのふくほんい
国民教育の複本位
大隈 重信
日本女子大学校第一回創立披露会での演説、1897(明治30)年3月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,417 字 · 11 页
全体性格の骨子ともいうべきものは信実でありまして、この信実が無ければ相互いの間に信用の存する余地はありません。而して信用の存する余地が無ければ、例えば、たとい銀行手形の便利を知り、これが制度を設けたとしても、何の役にも立ちません。然るに我が国民間に於ける手形交換の現況果して如何だかは、諸君の熟知せらるところ、また以て我が国民性格の高下を卜するに足るではありませんか。
申すまでもなく富強は国家の素望で在って、智識性格は実にこれが根本であります。されば真個の富強は決して一躍して獲られるべきものではない、必ずや深くその根本を培養し、その素養を確実にせねばなりません。而してその根本を培養し、その素養を確実にするものは実に教育である。されば真個の富強とは教育の基礎ある富強でなければならぬと謂わねばなりますまい。
明治五年学制発布爾来、我が邦教育事業駸々乎として進み、上、大学より、下、幼稚園に至るまで、学校の設備大いに整頓し、教授の方法頗る発達し、明治二十三年教育勅語を下し賜うに及んでや、徳育の方針ここに一定し、教化益々四海に普く、明治二十七、八年役に至って教育の効果はますますその光輝を発ち、内外の人士嘆美せざるはなき盛運に向いました。