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ちじょう
地上
島田 清次郎
地に潜むもの
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页
もっと世の金力、智力がこうした人間を助けることに用いられなくてはならない気がした。彼女は平一郎が昼の疲れで早く寝てしまったあとで、仕事する気になれず寝てしまった。疲労は彼女に熟睡を与えるに十分であった。
「恥さらしめが!」
胸苦しい悪夢にうなされているお光の夢を声が醒ました。夢ではないかと首をもたげると硝子戸越しに下弦の月が寒く照っていた。
「年甲斐もない、今のざまになっていながら、よくもまあこんなことが出来るものだね、お前さんは!」たしかに階下の主婦さんの声である。
「うう、汝の知ったことかい」
「知るも知らんもありゃしない。せっかく納得して自分からゆこうと思い立った大切な女に、お前さんが今夜のようなことをしかけちゃ、このさきどんなことがあるかも知れないという気になってしまうじゃないかい。なんぼわたしが毎日毎日欠かさず御飯を食べさしているからって、そうおかしな色気を出してもらっちゃ商売が出来ませんよ。女が欲しかったら下店へ五十銭もって行ってくるといいんだよ――ねえさん、気を悪くしないで下さいよ、ほんとにしょうがないのですから」
「黙っていろ! この己を耄碌扱いする気だな、貴様は」