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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

これをどんどん進んでいくとうまくいけば、やがて、わが南極派遣隊の駐屯しているところへ出られるかもしれないぞ」

「そうですか。そいつはいい。うまくいくと、これは、たすかりますね」

「うん、とにかく、もっと前進をしてみよう、前進!」

パイ軍曹のかおにも、生色が、よみがえってきた。地底戦車は、ふたたび、轟々と音をたてて、前進をはじめた。

「針路、真南!」

キーン、ぴし、ぴし、ぴしッ。

地底戦車は、ときどき空まわりをしながら、それでも、だんだん前進していった。

「よし、この分では、相当見込みがあるぞ」

パイ軍曹は、にんまりと笑った。

下をみると、ピート一等兵が、汗ばみながら、しきりにハンドルをとっている。電熱器のおかげか、それとも地底深いせいか、車内は、かなりに温い。そのとき、パイ軍曹の眼は、とつぜん、あやしいものの姿を、とらえた。

「おや、林檎だ。さっきの林檎が、あんなところに落ちていた」

林檎は、ごろごろと転げながら、軍曹の席に近づいた。軍曹は、身をおどらせて、下に下りると、その林檎を手にとった。たしかにほんとの林檎だ。すてきな香りがする。掌の中に、ひんやりとした感じがつたわる。