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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

沖島は、缶詰をいれてきたらしい箱のうえに、腰をおろした。彼はべつに悲しんでいる様子もなかった。

「さあ、ここですこしねむるかな」

彼は、腰をかけたままいねむりをはじめた。どこまで大胆な男であろう。

しばらくねむった。そのうちに、彼をよぶものがあった。

「おい、黄いろい幽霊!」

はて――と、眼をさますと、窓のところに二つの顔が、沖島の方をのぞいていた。

一つは、衛兵の顔、もう一つの顔は、ピート一等兵の大きな顔であった。

「おい、コーヒーをもってきてやったよ」

ピートがいった。

友情

コーヒーをもってきてやった――と、ピート一等兵はいった。そして窓のところから、うまそうな湯気のたつコーヒーの器が見えた。

沖島は、腰かけから立って、窓のところへいった。

「コーヒーを、もってきてくれたのか。どうも、すまんなあ」

「すまんことはないよ。わしは、ここだけの話だが、お前に、感謝しているよ……」

「おい、ピート一等兵。ことばをつつしめ」

と、衛兵が、よこで、こわい顔をした。

「だまっていろ、お前には、わからないことだ」

とピートは、衛兵につっかかった。

「そのわけは、お前がいなければわしは、地底戦車の中で、腹ぺこの揚句、ひぼしになって死んでしまったことだろう。