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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

「どうした。なぜ、うごかさんのか」

エンジンは、一向かからない。戦車長が、扉をあけて、とびだしてきた。そしておどおどしながら戦車の点検をはじめた。

リント少将は、にがい顔だ。

ちょうどそのとき、一同は、飛行機の爆音を耳にした。

「おや、飛行機だ。いや、相当の数だが、どうしたのだろう」

といっているうちに、とつぜん、氷山の彼方から、低空飛行でとびだして来た編隊の飛行機、その数は、およそ十四五機!

「へんだなあ。友軍機なら、この前になにかいってくるはずだ。これは、あやしい。おい、みんな、その場に散れ!」

と、リント少将は、号令をかけた。

とつぜん現れたこの怪飛行隊は、どこの飛行隊であろうか。

怪機の群

リント少将は、後日、人に話をしていうのには、少将の生涯のうちで、そのときほど、おどろいたことはなかったそうである。

その場に散れ――と、とっさに号令をかけた少将は、派遣軍の中で、一等おちついていたといえるだろう。しかも、その少将が、すっかりきもをつぶしたといっているのだ。

それもそのはずだった。

ごうごうと、爆音をあげて、少将たちの頭のうえを、すれすれに通り過ぎた十数機の怪飛行機の翼には、日の丸のマークがついていたのであった。