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じごくかいどう
地獄街道
海野 十三
「モダン日本」1933(昭和8)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,814 字 · 22 页
今夜は奢ってやるぞ。さア祝杯だ。山野には何かうまいカクテルを作ってやれ。僕は珍酒コンコドスを一つ盛り合わせてコンコドス・カクテルとゆくかな」
「コンコドス? およしなさい。アレ飲むとよくないことよ。それに辻永さん、今夜は顔色がたいへん悪いわよ。どうかして?」
なるほど辻永の顔色のわるいことは前から気がついていた。変に黄色っぽいのである。
「ナーニ、今日は疲れたのと、喜びと一緒に来たせいなんだよ。――早くもって来い」
「じゃ辻永さんはコンコドス。山野さんはクィーン・ノブ・ナイルがよかない」ミチ子が向うへ行ってしまうと、辻永は待ちかねたように、懐中から手帖を出した。それには小さい文字で、いくつもの項目わけにして書き並べてあった。
「君。ちょっとこのところを読んで見給え」辻永は鉛筆のお尻で、そこに書き並べられた標題を指した。
そこには次のようなことが書いてあった。
――○ガールの家(夜中に客が居なくなってしまったという不思議な事件が三度あったという)
「これは?」と私は訊ねた。
「さっきの女のうちに、箱詰になった青年が三人とも泊ったことが判った。三人とも夜中にいなくなったので覚えているそうだ。