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ちじくさくせん

地軸作戦

海野 十三

――金博士シリーズ・9――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,005 字 · 18 页

青空文庫

「さっきから聞いていれば、わしが一口喋る間にお前さんは二十口も喋るね。北国人には珍しいお喋りじゃ」

「これは御挨拶です」

「まず何よりも決めて貰いたいのは報酬問題じゃ。これが成功の暁には何を呉れますかな」

「ああ報酬ですか。これは申し遅れて、まことに申訳なし。わが宰相から委任されている範囲内でもって、如何様なる巨額の報酬でもお支払いいたす。百ルーブル紙幣を、博士の目の高さまで積んでもよろしいです」

「いや、ルーブル紙幣の名を聞いただけで、寒気がしてぶるぶると慄えが出る。そんなものを紙幣で頂こうなど毛頭思っとらん」

「では何を……。あ、そうそう、カムチャッカでやっとります燻製の鰊に燻製の鮭は、いかがさまで……」

「それだ。初めから、そういう匂いがしていた。燻製の本場ものはさぞうまいことじゃろう。そっちから申込みの仕事は、その燻製が届いてから始めるから、仕事を早く始めて貰いたかったら、一日も早く現品をわしのところへ届けなさい。では失礼」

というと、金博士の姿は忽然としてその場から消えた。日本人に見せたら、これはきっと金博士が忍術を使ったと思うだろうが、実はさにあらず、例の偏光硝子で作った衝立の中に、博士が入ったためで、博士の方からはネルスキーの方が見えるが、ネルスキーの方からは博士が絶対に見えないのであった。