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じしんなまず

地震なまず

武者 金吉

在线阅读武者 金吉《地震なまず(じしんなまず)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,954 字 · 195 页

青空文庫

これが先生が地震学者となる第一歩であった。

明治二十六年すなわち大学卒業の前年に先生は昌平学舎という寄宿舎を設けてそれを主宰することになった。郷里から貧書生が続々上京するので、それらの学生の面倒を見るためであった。昌平学舎の位置は始めは駿河台、ついで本郷東竹町、最後が本郷弥生町であった。最後の家だけは今も残っている。東大地球物理学教室の下にある古びた二階家がそれである。

明治二十七年七月先生は東大を卒業した。しかし卒業式には列席が出来なかった。卒業式に先立って磁気実測のため中村清二理学士(後に博士)と共に北海道に出張したからである。

当時交通機関のほとんどなかった北海道を、あるいは馬あるいは徒歩で跋渉した話は、「鯰のざれごと」(後に「地震の国」と改題)の中に「野宿」と題して面白く記されてある。その中の鹿島は先生、中牟田は中村清二先生のことである。

支給された旅費が約十円残ったので、その中から三円を投じて柳原で古着を買い、残りの金で十二月までしのいだ。

東京遊学の費用は直接には長兄から与えられたが、長兄は不足の分を岳父岡留信好氏に仰いだ。遊学五年間の学資は合計三百六十八円であった。