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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

相手が長蔵さんと赤毛布でさえ自分にはこれほどの変化を来たしたんでも分る。

すると長蔵さんは草鞋の紐を結んで、足元に用がなくなったもんだから、ふいと顔を上げた。そうして自分を見た。そうして、こんな事を云う。

「御前さん、飯は食わなくっても好いだろうね」

飯を食わなくって好い法はないが、わるいと云ったって、始まりようがないから、自分はただ、

「好いです」

と答えて置いた。すると長蔵さんは、

「食いたいかね」

と云って、にやにやと笑った。これは自分の顔に飯が食いたいような根性が幾分かあらわれたためか、または十九年来の予期に反した起きたなり飯抜きの出立に、自然不平の色が出ていたためだろう。それでなければ草鞋の紐を結んでしまってから、こんな事を聞く訳がない。現に長蔵さんは、赤毛布にも小僧にもこの質問を呈出しなかったんでも分る。今考えると、ちょっと両人にも同じ事を聞いて見れば善かったような気もする。朝飯を食わないで五里十里と歩き出すものは宿無しか、または準宿無しでなくっちゃならない。目が醒めて、夜が明けてるのに、汁の煙も、漬物の香も、いっこう連想に乗って来ないからは、行きなり放題に、今日は今日の命を取り留めて、その日その日の魂の供養をする呑気屋で、世の中にあしたと云うものがないのを当り前と考えるほどに不幸なまた幸な人間である