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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

「吹くんですか」

初さんはこの時大きな声を出して笑った。

自分は喫驚して稀有な顔をしていた。

「冗談じゃねえ。何が這入てると思う。種油だよ、しずくぐらいで消てたまるもんか」

自分はこれでやっと安心した。

「安心したか。ハハハハ」

と初さんがまた笑った。初さんが笑うたんびに、坑の中がみんな響き出す。その響が収まると前よりも倍静かになる。ところへかあん、かあんとどこかで鑿と槌を使ってる音が伝わって来る。

「聞えるか」

と、初さんが顋で相図をした。

「聞えます」

と耳を峙てていると、たちまち催促を受けた。

「さあ行こう。今度あ後れないように跟いて来な」

初さんはなかなか機嫌がいい。これは自分が一も二もなく初さんにやられているせいだろうと思った。いくら手苛くきめつけられても、初さんの機嫌がいいうちは結構であった。こうなると得になる事がすなわち結構という意味になる。自分はこれほど堕落して、おめおめ初さんの尻を嗅いで行ったら、路が左の方に曲り込んでまた峻しい坂になった。

「おい下りるよ」

と初さんが、後も向かず声を掛けた。その時自分は何となく東京の車夫を思い出して苦しいうちにもおかしかった。