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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

今まで一万余人の坑夫を畜生のように軽蔑していたのに、――誓って死んでしまおうと覚悟をしていたのに、――大股に歩いて来た坑夫がたちまち恐ろしくなった。しかし、

「何でこんな所を迷子ついてるんだ」

と聞き返された時には、やや安心した。自分の様子を見て、故意に俵の上へ腰をおろしたんでないと見極めた語調である。

「実は昨夕飯場へ着いて、様子を見に坑へ這入ったばかりです」

「一人でか」

「いいえ、飯場頭から人をつけてくれたんですが……」

「そうだろう、一人で這入れる所じゃねえ。どうしたその案内は」

「先へ出ちまいました」

「先へ出た? 手前を置き去りにしてか」

「まあ、そうです」

「太え野郎だ。よしよし今に己が送り出してやるから待ってろ」

と云ったなり、また鑿と槌をかあんかあん鳴らし始めた。自分は命令の通り待っていた。この男に逢ったら、もう一人で出る気がなくなった。死んでも一人で出て見せると威張った決心が、急にどこへか行ってしまった。自分はこの変化に気がついていた。それでも別に恥かしいとも思わなかった。人に公言した事でないから構わないと思った。その後人に公言したために、やらないでも済む事、やってはならない事を毎度やった。