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うもれたにほん
埋もれた日本
和辻 哲郎
――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,399 字 · 43 页
玉王をさらった鷲は、阿波の国のらいとうの衛門の庭のびわの木に嬰児をおろして、虚空に飛び去った。衛門は子がなかったので、美しい子を授かったことを喜び、大切に育てた。すると玉王の五歳の時、国の目代がこのことを聞いて、自分も子がないために、無理に取り上げて自分の手もとに置いた。七歳の時にはさらに阿波の国司がこのことを聞いて、目代から玉王を取り上げ、傍を離さず愛育したが、十歳の時、みかどがこれを御覧じて、殿上に召され、ことのほか寵愛された。十七の時にはもう国司の宣旨が下った。ところが筑紫へ赴任する前に、ある日前栽で花を見ていると、内裏を拝みに来た四国の田舎人たちが築地の外で議論するのが聞こえた。その人たちは玉王を見て、あれはらいとうの衛門の子ではないかと言って騒いでいたのである。玉王はそれを聞いて、自分が鷲にさらわれた子であることを知った。で、みかどに乞うて四国の国司にしてもらい、ほんとうの親の探索にかかった。まず阿波の国に行って衛門に逢い、子を鷲にさらわれた者を探したが、一人もなかった。ついで伊予の国に行って、法会にこと寄せて二十歳以上の人々を集め、同じく子を鷲にとられた者を調べたが、ここでもわからなかった。