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げいどうちにおつ
堕落論
坂口安吾『堕落論』。同一底本的分册已合并为一书。收入:芸道地に堕つ、今後の寺院生活に対する私考、文学のふるさと。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,802 字 · 13 页
だの、さっきの狂言のようなものを創りだすことはないでしょう。
モラルがないこと、突き放すこと、私はこれを文学の否定的な態度だとは思いません。むしろ、文学の建設的なもの、モラルとか社会性というようなものは、この「ふるさと」の上に立たなければならないものだと思うものです。
もう一つ、もうすこし分り易い例として『伊勢物語』の一つの話を引きましょう。
昔、ある男が女に懸想して頻りに口説いてみるのですが、女がうんと言いません。ようやく三年目に、それでは一緒になってもいいと女が言うようになったので、男は飛びたつばかりに喜び、さっそく、駈落することになって二人は都を逃げだしたのです。芥の渡しという所をすぎて野原へかかった頃には夜も更け、そのうえ雷が鳴り雨が降りだしました。男は女の手をひいて野原を一散に駈けだしたのですが、稲妻にてらされた草の葉の露をみて、女は手をひかれて走りながら、あれはなに? と尋ねました。然し、男はあせっていて、返事をするひまもありません。ようやく一軒の荒れ果てた家を見つけたので、飛びこんで、女を押入の中へ入れ、鬼が来たら一刺しにしてくれようと槍をもって押入れの前にがんばっていたのですが、それにも拘らず鬼が来て、押入の中の女を食べてしまったのです。