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ほうおんき

報恩記

芥川 竜之介

自称大盗的阿媽港甚内深夜来访,却不是为了偷窃,而是请求为某人的灵魂做弥撒。他到底是善是恶?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,803 字 · 30 页

青空文庫

しかもその金を受け取らないとなれば、わたしばかりか一家のものも、路頭に迷うのでございます。どうかこの心もちに、せめては御憐憫を御加え下さい。わたしはいつか甚内の前に、恭しく両手をついたまま、何も申さずに泣いて居りました。……

その後わたしは二年の間、甚内の噂を聞かずに居りました。が、とうとう分散もせずに恙ないその日を送られるのは、皆甚内の御蔭でございますから、いつでもあの男の仕合せのために、人知れずおん母「まりや」様へも、祈願をこめていたのでございます。ところがどうでございましょう、この頃往来の話を聞けば、阿媽港甚内は御召捕りの上、戻り橋に首を曝していると、こう申すではございませんか? わたくしは驚きも致しました。人知れず涙も落しました。しかし積悪の報と思えば、これも致し方はございますまい。いや、むしろこの永年、天罰も受けずに居りましたのは、不思議だったくらいでございます。が、せめてもの恩返しに、陰ながら回向をしてやりたい。――こう思ったものでございますから、わたしは今日伴もつれずに、早速一条戻り橋へ、その曝し首を見に参りました。

戻り橋のほとりへ参りますと、もうその首を曝した前には、大勢人がたかって居ります。