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しおをのせたふね

塩を載せた船

小川 未明

「童話」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,881 字 · 12 页

青空文庫

しかたなく、それから三年ばかりたってから、私は二番めの夫をもちました。そして、一人の男の子と、一人の女の子を生みました。しかし、私たちの幸福は、長くはつづきませんでした。夫は病気をして死んでしまいました。まもなく私は目を患って、両方の目とも見えなくなってしまいました。私は、二人の子供を親類にあずけました。その親類は、しんせつではありませんでした。二人の子供をどこかへやってしまいました。それからというもの、私は、所を定めず、さまよっているのであります……。」

目がさめると、それもやはり夢であったが、どういうものか、その年とった盲目の女のようすが、なんとなくみじめで、目から取れませんでした。

若者は、このごろつづけて見た夢が、深く、彼の心をとらえて、仕事も思うように手につかなく、海辺へ出ては、沖をながめながらぼんやりと暮らしていました。

彼は、父親のいったことを思い出したのです。

「私は、まだほんとうに哀れな人というのを見なかったが、もし、この後、おまえが、哀れな人を見たときは、その人を救ってやらなければならない。これが、私のただ一つおまえにいい残しておく、大事なことだ。