轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

「モダン日本」1939(昭和14)年7月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 页

青空文庫

いろいろな顔が、そのくせ、何とも説明のつかぬ相似で貫かれながら、じっと、竜太郎を眺めていた。

(いよいよ、これで、最後か)と、心の中で、呟いて見た。しかし、何の感じも起きなかった。たとえようもなく、ほのぼのとした気持だった。竜太郎は、祖国とただひと夜の愛人に、心から訣別のことばを送った。(さよなら……、さよなら……)

突然、やや遠くで、轟くような大砲の音がし、それを追いかけるように、あちらこちらの寺院の鐘が、一斉に鳴りはじめ、無数の人の歓声が怒濤のように湧き起った。殷々たる砲声と、寺院の鐘と、人のどよめきが、入り乱れ、混り合い、空をどよもして響きわった。

十二

復興式の荘重な前面を持った王宮の前庭には、それを、三方から囲うようにして、数万の人民が堵列していた。手に手に緑と藍と白のリストリアの小さな国旗を持ち、謁見式への自動車が通るたびに、一斉に喊声を浴びせかけた。

「万歳!」

「リストリア王国万歳!」

「エレアーナ王女万歳!」

高低さまざまに、微妙な階調をつくりながら、渾然たる歓喜の総量となって空に立ちのぼる。

竜太郎の乗った自動車は、熱狂した歓呼と歓声の間を、ゆるゆると王宮のほうへ進んで行った。