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はかば
墓場
西尾 正
「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
よしや記憶が不確かでぼんやりはしているものの、あなた方の証人が見たと言うように、あの恐怖の夜、十一時半、ビッグ・サイプレスの沼沢地に向かって、ゲンスヴィルの丘をわれわれ二人が歩いていたという事実は否定はいたしません。われわれが電気ランプと鍬、器械に接続した電線コイルを携帯していたことさえ承認するでしょう。というのは、これらの品々はみな、戦慄すべき思い出の中に燃え残っている、あの忌まわしい情景の役割をそれぞれ果たしたのですから。
けれどもそれから何が起こったか、どういうわけで翌朝わたくし一人が発見され、あの沼沢地のほとりで茫然としていたか、――の理由については、繰り返し述べたこと以外には何にも知らないと主張しなければなりません。
あなた方は、沼沢地にもその付近にも、あの恐ろしい話を証拠立てる何物もないとおっしゃるでしょう。わたくしは答えます。――わたくしの見た向方側の世界については何にも知らぬ、と。
それはことによったら幻影か夢魔か、――そうであってくれればいいのだが、これから申し上げるわたくしの陳述は、われわれが人里はなれて後、戦慄すべき時間に起こった事柄について、記憶に残った全部なのです。