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「だん」のかいたい
増補 美学的空間
中井 正一
中井正一『増補 美学的空間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「壇」の解体、生きている空間、言語は生きている、現代美学の危機と映画理論。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,324 字 · 44 页
この存在が存在から距てられている怖れが、生きた空間のほんとうの感じであると考えるのである。サルトルが常に表現するところの不安の空間の意味でもある。
自分が、自分からぬけ去って、自分を見ていると云うロマン的皮肉も、この自分から自分が距たっている云う不安も、その根柢に、そのあるべき所を得ていない知識人の嘆きが共通に流れている。
ハイデッガーの弟子であるオスカー・ベッカーは、彼の論文「直観的空間のアプリオリ的構造」の中で、かかる立場から、空間的次元を「生きた空間」として取扱う試みをしたのである。
彼は、一次元を、「何物かに向うところのこころ」と考えるのである。自分が、一つの方向への距離を感じ、それに向って、直ぐに向うことである。(日本語で「おもう」は、初めは恋をする、好意をもつ、そちらに向って、顔面を向けて方向づけるの意味をもっていて、だんだん「考えること」に転化するのである。)ベッカーでは、その場合、その方向が「ひたすら」(ゲラーデアウス)であることが必要であると云う。
この「ひたすら」なる一義的方向が、一義的であり得なくなって、只距離はあるけれども、それは、アリアドネの糸に導かれる洞窟の中のさまよいのように、無限のさまよう面をもった時、それは二次元の空間が現われて来るのである。