轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かわったはなし
変った話
寺田 寅彦
「経済往来」1934(昭和9)年3月1日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,474 字 · 17 页
無限に大きな像には形態がない」と訳してある。「大器晩成」の訳は明らかにちがっているようではあるが、他の三句に対してはこの訳の方がぴったりよく適合するから妙である。それは別として、ここのドイツ訳は数学者や物理学者にとってなかなか面白く読まれるであろう。同様な意味で面白いのは「大曰逝。逝曰遠。遠曰反。」の最後の句を「無限の遠方は復帰である」と訳してあるが、これはアインシュタインの宇宙を指しているようで面白い。また「無有入於無間」を「個体性のないものは連続的物質中に侵入する」と訳しているが、これは、何となく古典物理学のエーテルを云っているようで面白い。「故致数車無車」を「部分の総和は全体ではない」と訳しているのでも、当否は別としてやはり面白い。欠けた硝子片を寄せたものは破れない硝子板にはならないのである。
老子は虚無を説くから危険思想だとこわがる人があるそうである。しかし自分が電車で巡り合った老子の虚無は円満具足を意味する虚無であって、空っぽの虚無とは全く別物であった。老子の無為は自覚的には無為であるが実は無意識の大なる有為であった。危険どころかこれほど安全な道はないであろう。