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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

山川方夫『夏の葬列』。同一底本的分册已合并为一书。收入:夏の葬列、十三年、朝のヨット、煙突、お守り、一人ぼっちのプレゼント、待っている女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,161 字 · 122 页

青空文庫

……そのお守りが、これさ。

関口は、うしろに置いてあった分厚い革鞄を引き寄せると、中から油紙に包み、厳重に細紐でからげた片手握りほどの太さのものを出した。

――ダイナマイト。本物だぜ。

器用に指がその紐をほどいて、僕は本物のダイナマイトをはじめてみた。二十センチほどの鋼鉄の円筒が四本、針金でぎっしりと結わえられてあった。手に受けると、ずしりとした重みがくる。

――これがお守りさ。

と、関口はいった。

――みんな、なんとかかんとかいっても、規格品の生活の外に出ることができまい。でもおれは、いざという気になりゃ。いつでもこんな自分もお前たちも、吹きとばしてやることができる……こっそり自分がそんな秘密の力を握っていること、考えあぐねた末、それがやっとみつけたぼくの支えだったわけさ。つまり、これがぼくの特殊性さ。

――へえ。

返すと、関口はまるで愛撫するような目つきで、その黒く底光りのする細い円筒をみつめた。

――……要らねえな、ぼくは。

と、僕はいった。

――そうか。残念だな。ぼくももう要らない。べつのお守りをさがさなくちゃなんないんだ。

――そうだよ、たとえいまの話がまじめなものとしたってだね、こんな危険なもの……