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たしんきょう

多神教

泉 鏡花

「文藝春秋」1927(昭和2)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,787 字 · 36 页

青空文庫

なあ、布気田。よしよし、いや、村の衆。今度は鬼女、般若の面のかわりに、そのおかめの面を被せい、丑の刻参の装束を剥ぎ、素裸にして、踊らせろ。陰を陽に翻すのじゃ。

仕丁 あの裸踊、有難い。よい慰み、よい慰み。よい慰み!

神職 退れ、棚村。慰みものではないぞ、神の御罰じゃ。

禰宜 踊りましょうかな。ひひひ。(ニヤリニヤリと笑う。)

神職 何さ、笛、太鼓で囃しながら、両手を引張り、ぐるぐる廻しに、七度まで引廻して突放せば、裸体の婦だ、仰向けに寝はせまい。目ともろともに、手も足も舞踊ろう。

「遣るべい、」「遣れ。」「悪魔退散の御祈祷。」村人は饒舌り立つ。太鼓は座につき、早や笛きこゆ。その二、三人はやにわにお沢の衣に手を掛く。――

お沢 ああ、まあ、まあ。

神職 構わず引剥げ。裸体のおかめだ。紅い二布……湯具は許せよ。

仕丁 腰巻、腰巻……(手伝いかかる。)

禰宜 おこしなどというのじゃ。……汚れておろうかの。

後見 この婦なら、きれいでがすべい。

お沢 (身悶えしながら)堪忍して下さいまし、堪忍して下さいまし、そればかりは、そればかりは。

神職 罷成らん! 当社の掟じゃ。が、さよういたした上は、追放して許して遣る。