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たしんきょう

多神教

泉 鏡花

「文藝春秋」1927(昭和2)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,787 字 · 36 页

青空文庫

恭礼をしましてござる。――御利益、――御奇特、祝着に存じ奉る。

巫女 お喜びを申上げます。

媛神 (梢を仰ぐ)ああ、空にきれいな太白星。あの光りにも恥かしい、……私の紅い簪なんぞ。……

神職 御神、かけまくもかしこき、あやしき御神、このまま生命を召さりょうままよ、遊ばされました事すべて、正しき道でござりましょうか――榛貞臣、平に、平に。……押して伺いたてまつる。

媛神 存じません。

禰宜 ええ、御神、御神。

媛神 知らない。

――「平に一同、」「一同偏に、」「押して伺い奉る、」村人らも異口同音にやや迫りいう――

巫女 知らぬ、とおっしゃる。

神職 いや、神々の道が知れませいでは、世の中は東西南北を相失いまする。

媛神 廻ってお歩行きなさいまし、お沢さんをぐるぐると廻したように、ほほほ。そうして、道の返事は――ああ、あすこでしている。あれにお聞き。

「のりつけほうほう、ほうほう、」――梟鳴く。

神職 何、あの梟鳥をお返事とは?

媛神 あなた方の言う事は、私には、時々あのように聞こえます。よくお聞きなさるがよい。

――梟、頻に鳴く。「のりつけほうほう」――

老仕丁 のりつけほうほう。