轻松读懂日语经典作品
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页
意気込んで舞台へ飛び出したが、相手役がいなかったというバツの悪さをごまかすには、せめて思いも掛けぬお加代という登場人物を相手にしなければならない。
「へえん、随分ご親切だけど、かえって親切が仇にもなるわよ」
と、お加代はしかし大根役者ではなかった。
「親切が仇に……? なんぜや……?」
豹吉はききかけて、よした。
他人の意見なぞ、どうでもよい。自分の考えだけを押し通せばいいのだ。頼りになるのは、結局自分自身だけだ――というのが、豹吉の持論だった。
「おい、八重ちゃん……」
と、豹吉は店の女の子を呼んで「――この子供らに、メニューにあるだけのもン、何でも食わせてやってくれ」
どうやら靴磨きの少年達に御馳走することには、反対らしいお加代への面当てに、わざとそう言った。
「何でもって、全部ですか」
女の子はまごついてしまった。
「そうだ。――ハバ、ハバ!」
豹吉はいらいらして言った。ハバとは「早くしろ」という意味の進駐軍の用語である。
珈琲、ケーキ、イチゴミルク、エビフライ、オムレツ……。
運ばれて来るたびに、靴磨きの兄弟――
「うわッ、うまそうやな」
と、唾をのみ込み咽を鳴らしながら、しかし、