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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

02 第一部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,315 字 · 25 页

青空文庫

晴。曇。晴。曇。そんな日の七日も八日も続いたところがありましたっけ。」

「それだ。無器用に生まれついて来たのは性分でしかたがないとしても、もうすこしあれには経済の才をくれたい。」

茶のみ友だちともいうべき夫婦は、古風な煙草盆を間に置いて、いろいろと子の前途を心配し出した。その時、おまんは長い羅宇の煙管で一服吸いつけて、

「こないだからわたしも言おう言おうと思っていましたが、半蔵のうわさを聞いて見ると残念でなりません。あの金兵衛さんなぞですら、馬籠の本陣や問屋が半蔵に勤まるかッて、そう思って見ているようですよ。」

「そりゃ、お前、それくらいのことはおれだって考える。だから清助さんというものを入れ、栄吉にも来てもらって、清助さんには庄屋と本陣、栄吉には問屋の仕事を手伝わせるようにしたさ。あの二人がついてるもの、これが普通の時世なら、半蔵にだって勤まらんことはない。」

「えゝ、そりゃそうです――土台ができているんですから。」

「あのお友だちを見てもわかる。中津川の本陣の子息に、新問屋の和泉屋の子息――二人とも本陣や問屋の仕事をおッぽりだして行ってしまった。」

「あれで半蔵も、よっぽど努めてはいるようです。