轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よぎしゃ
夜汽車
牧 逸馬
「探偵文藝」1925(大正14)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,725 字 · 6 页
「何だと、こりゃ面白い」
と青年はフリント君のほうへ向き直った。「言葉なんか何の足しにもならねえ。俺は只、時計の代を六十弗この女から貰えばいいんだ」
「何んなにでもお詫びしますから、御免下さいな、ね、ね」
「いんや、不可ない。六十弗で此の毀れた時計を買って呉れるか、さもなければ――」
「車掌を呼ぼう。車掌を」
紳士が立上った。
「まあ、お待ちなさい」
フリント君が制した。
「だって、あんまりじゃありませんか」
と紳士は中腰のまま、息もつけない程憤慨していた。「なんだ、そんなものが鳥渡毀れたと言って何だ、失敬な」
「おや、そんなことを仰言るなら、綺麗に形を付けて下さるんでしょうね」
「幾らだ」
「六十弗」
憤然として紳士は隠しへ手を突っ込んだ。フリント君は其の手を押さえた。
「馬鹿馬鹿しいじゃないですか」
「なあに、引っかかりです。女の児が可愛そうです。それに安いもんでさあ――」
フリント君は女の方を見た。窓に額をつけて暗い外を見ていた女は、ちらとフリント君に哀願の眼なざしを送った。
「宜しい」とフリント君は蝦蟇を探した。「私が出しときましょう」
「飛んでもない、私があの時計を買おうと言い出したんですから――」