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よなきてっこつ

夜泣き鉄骨

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,273 字 · 31 页

青空文庫

「こう、みんなも聴けよ」彼は、周囲の南瓜面を、ずーッと睨めまわした。「ありゃナ、クレーンが、動いている音さ!」

「なに、クレーンが※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

一同が、思わず声を合わせて、叫んだ。

クレーンというのは、格納庫のように巨大な、あの第九工場の内部へ入って、高さが百尺近い天井を見上げると判るのだが、そこには逞しい鉄骨で組立てられた大きな橋梁のような形の起重車が、南北の方向に渡しかけられている。それが、クレーンだった。その橋梁の下には、重い物体をひっかける化物のようにでっかい鈎が、太い撚り鋼線で吊ってあり、また橋梁の一隅には、鉄板で囲った小屋が載っていて、その中には、このクレーンを動かすモートルと其の制動機とが据えてあった。制動機を動かすと、この鉄橋は、あたかも川の中で箸を横に流すように、広い第九工場の東端から西端まで、ゴーッと音をたてて横に動くのだった。

「おい、政ッ!」わしは、クレーンの運転手をやっている男を、人垣の中に呼んだ。

「へえ――」政は、紙のように、白い顔をして、おずおずと、前へ出てきた。

「クレーンが、真夜中に動き出すてのは、本当かな」