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よづりのかい
夜釣の怪
池田 輝方
「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 880 字 · 2 页
」と云うのです。
それから、気味が悪いなと思いながら、依然釣をしていると、それが、一度消えてなくなってしまって、今度は判然と水の上へ現われたそうです。
それが、その妙な口を開いて笑ったそうです。余程気味が悪かったそうです。
それから、この釣棹を寄せて、一緒にして、その水の中をガバガバと掻き廻したんだそうです。
その音がつまり、私の祖父の耳に聞えたんです。それから、その女郎屋の主人は、祖父の処へ迎いに来たんです。
楼へ帰ってからその主人は、三月ほど病いました。病ったなり死んでしまいました。
夜釣に行くくらいだからそう憶病者ではなかったのです。水の中も掻き廻わしたくらいなのですけれど、千住へ来るまでは怖くって口も利けなかったと言ってたそうです。
それから私の祖父も釣を止しました。大変好きだったのですが止してしまいました。