轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
「改造」1934(昭和9)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,755 字 · 55 页
「エッ、解剖を!」寂蓮尼はのけぞらんばかりに驚いたらしく、彼女の全身に、まるで眩暈を感じた時のそれのような動揺が起って行った。「何故生体に刀を入れる必要があるのです。庵主が大吉義神呪経の吸血伝説を信じているように、貴方がたも大変な誤ちを冒そうとして居ります。それこそ、適法の殺人者ですわ」
「それが、証拠の虚実を決定するものだとすれば……、一向構わんではありませんか」法水は冷然と云い放った。「たしか、ヴォルテールでしたね。ストリキニーネさえ混ぜれば、呪文でも人間を殺せる――と云ったのは」
寂蓮尼は顔一杯に凄愴な隈を作って、憎々し気に法水を凝視めていたが、やがて、襖を荒々しくたて切って、室を出てしまった。
「ねえ支倉君、たしかあの女は、推摩居士の巫術術」]の方に興味を持っているんだよ。どうやら、此の寺が二派に分れているとは思わんかね。そこに動機がある……」
法水がそう云った時、智凡尼が入って来た。その、薄髭が生えて男のような骨格をした女は、座に着くと莨を要求してスパスパやりながら、
「莫迦らしいとはお思いになりませんか。推摩居士が、真実竜樹の化身ですのなら、何故南天の鉄塔を破った時のように、七粒の芥子を投げて、密室を破らなかったのでしょう」