轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおきなかに
大きなかに
小川 未明
「婦人公論」1922(大正11)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,912 字 · 12 页
困ったことだと思って、独りとぼとぼと歩いてくると、星晴れのしたいい夜の景色で、なんといっても、もう春がじきだと思いながら歩いていた。海辺までくると、雪も少なく、沖の方を見れば、もう入り日の名残も消えてしまって、暗いうちに波の打つ音が、ド、ドー、と鳴っているばかりであった。ちょうど、そのとき、あちらに人間が五、六人、雪の上に火を焚いて、なにやら話をしているようだった。
私は、いまごろ、なにをしているのだろう、きっと魚が捕れたのにちがいない。家へみやげに買っていこうと思って、なんの気なしに、その人たちのいるそばまでいってみると、その人たちは酒を飲んでいた。みんなは、毎日、潮風にさらされているとみえて、顔の色が、火に映って、赤黒かった。そして、その人たちの話していることは、すこしもわからなかったが、私がゆくと、みんなは、私に、酒をすすめた。つい私は、二、三杯飲んだ。酒の酔いがまわると、じつにいい気持ちになった。このぶんなら、夜じゅう歩いてもだいじょうぶだというような元気が起こった。
私は、なにかみやげにする魚はないかというと、その中の一人の男が、このかにを出してくれた。