轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おおいがわおくやまのはなし

大井川奥山の話

木暮 理太郎

「新家庭」1920(大正9)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,724 字 · 20 页

青空文庫

行手に一つの窪地があらわれた。大さは霧の為に不明であるが可なり広いらしい。草も木も生えていないので私は始め池かと思った。そこに珍らしい光景が展開していた。二十頭あまりの鹿が余念なく戯れているのである。それが霧の去来に連れて影絵のように濃くなったり淡くなったりする。風上に居るので私達の近付いたのを少しも知らずにいる。三人声を揃えて突喊すると、愕いた一群は小石を蹴って跳び上りさま、これも上河内の方面に逃げ去った。小馬ほどもある一頭の牡鹿が大きな角を背に伏せるようにして疾駆するさまは、寧ろ凄いといいたい位であった。小石交りの窪地は泥田のようにこね返されて、縦横に蹄の跡が印されている、中には牛の足跡にまがう大きなものもあった。牡鹿のものであろう。鹿はこうした所をこね返すのが好きだそうである。猟師はこんな所をノタと呼んでいる。

ノタの縁に沿うて東から北に廻り一の隆起を踰えて、また美しい草原に天狗樺の散生した窪地を上って行くと、とうとう雨がポツポツ落ちて来た。水の流れていそうな溝を探している中に大降りとなったので、側にあった矮い白檜の下に逃げ込んで雨を避けた。