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だいどうじしんすけのはんせい
大導寺信輔の半生
信輔的童年总在肮脏泥泞的本所街头,他却爱那里的每一处破败。三十年后,依然是那些无树无花的街道闯入他的梦。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,611 字 · 26 页
同時にまた肉身の父を恥じる彼自身の心の卑しさを恥じた。国木田独歩を模倣した彼の「自ら欺かざるの記」はその黄ばんだ罫紙の一枚にこう言う一節を残している。――
「予は父母を愛する能はず。否、愛する能はざるに非ず。父母その人は愛すれども、父母の外見を愛する能はず。貌を以て人を取るは君子の恥づる所也。況や父母の貌を云々するをや。然れども予は如何にするも父母の外見を愛する能はず。……」
けれどもこう言う見すぼらしさよりも更に彼の憎んだのは貧困に発した偽りだった。母は「風月」の菓子折につめたカステラを親戚に進物にした。が、その中味は「風月」所か、近所の菓子屋のカステラだった。父も、――如何に父は真事しやかに「勤倹尚武」を教えたであろう。父の教えた所によれば、古い一冊の玉篇の外に漢和辞典を買うことさえ、やはり「奢侈文弱」だった! のみならず信輔自身も亦嘘に嘘を重ねることは必しも父母に劣らなかった。それは一月五十銭の小遣いを一銭でも余計に貰った上、何よりも彼の餓えていた本や雑誌を買う為だった。彼はつり銭を落したことにしたり、ノオト・ブックを買うことにしたり、学友会の会費を出すことにしたり、――あらゆる都合の好い口実のもとに父母の金銭を盗もうとした。