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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
「太陽」博文館、1925(大正14)年7月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 页
そうして恐らくこの地図には、秘密があろうと考えた。
「うむ、こいつあ甲州の地図だ。……ははあ、こいつが釜無川だな。……おおここに記号がある」
釜無川の川岸に朱で二重丸が入れてあった。
で、友蔵は腕を組み、じっと何かを考え込んだ。
さてその翌日の早朝であったが、甲州街道を足早に、甲府の方へ下る者があった。他ならぬ岡っ引の友蔵で、厳重に旅の装いをしていた。
すると、その後から見え隠れに、一人の旅人が尾行けて行った。それを友蔵は知らないらしい。
道中三日を費やして、友蔵は甲府の城下へ着いた。
旅籠へ泊った友蔵は、両掛からこっそり地図を出し、あらためて仔細に調べ出した。
すると、隣室の間の襖が、あるかなしかに細目に開き、そこから鋭い眼が見覗いた。様子を窺っているのであった。
翌日早朝友蔵は、釜無の方へ出かけて行った。忍野郷を出外れるともう釜無の岸であった。土手に腰かけて一吹した。それから四辺を見廻したが、人の居るらしい気勢もなかった。用意して来た鍬を提げ地図を見い見い歩いて行ったのは、川の岸寄りの中洲であった。
彼は熱心に掘り出した。やがて何か鍬の先に、カチリとあたる音がした。